エラーでうまくいかない?変な答えが出てくる?動いて答えは出るけど、どうやって計算しているかさっぱり分からない?等いろいろ有るかもしれません。
動いた方は、機種名やプロジェクト名を追加したり、資産別の分類をしてフィルタを掛けたりして合計することで、いろいろな分析ができます。
例えば、
・機種別の償却費をグラフで見せる・・・償却費が予算オーバーの時に、どの機種を優先させるか
・資産別の償却費をグラフで見せる・・・予定数が減ってしまった機種の自動化を止めたらどうなるか
等、活用できると思います。
さて、これからは、現有資産の未来の減価償却費と簿価を関数を使ってリアルタイムに計算する方法を紹介します。この結果と前に紹介した設備予算の償却費を合計すると、未来の償却費を予測することが出来ます。また、将来の簿価が分かる事から、廃却計画から特別損失の予測が出来る様になります。
私は当初は新しい事業担当だったので、取得した資産をExcelに入力しておいて電卓並みの計算をしていました。しかし、そのうち固定資産の数が増えてきたり、組織変更で今まで扱っていなかった資産が大量に持分になったりで、固定資産台帳からデータを貰って、そのデータを元に計算する様にしました。
<訂正記事>
2012.9.5 式分類の説明追記
<概要説明>
ここで取り上げるのは定率法のみです。(無形、建物等の定額法対象は担当に無かった。式は簡単にできるので省略)
ダウンロードした固定資産台帳(CSV形式で2008年以降の物であれば何月でも可)をExcelで読み込み、決まった位置に計算式を貼り付ける事により、リアルタイムで現在年と未来年の指定月減価償却費と指定月簿価・期末簿価を固定資産の1点毎に自動計算する。
固定資産台帳に付加した機種情報や部品番号・流用情報と組み合わせる事で、機種毎の償却費や廃却簿価を未来に渡って計算する事ができる。
Excelの削除・挿入時の自動アドレス変換を利用する事で、以下のデータが揃っていれば列が合っていなくても利用できる。また、ダウンロードデータの並び順が異なっても、計算に必要な以下のデータが揃っていれば、アドレスを修正する事で利用できる。
平成19年度の税制改正に対応しており、平成20年からの計算に対応している。
(平成19年は、4月使用開始からの計算方法変更に伴い、別の暫定式を使用している)平成19年度税制改正の内容については、以下国税庁のHPを参照して下さい。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/h19/genkaqa.pdf
履歴を考慮していない為に、途中で償却を停止した資産や他事業からの移管資産等で償却年数が変わった場合には対応できていない。計算誤差が生ずる。
転換点を既に過ぎた資産で、固定資産台帳からデータを受け取る部分は実際データでの確認を要する。
分割・統合やデータ修正等によって生じた負の値を持つ資産に対する計算にも考慮している。
Excelの括弧の段数が8重に制限されているので、IF文の他に条件式も使用している。
条件でAかBを選択する場合、A*条件1+B*条件2(条件1を満足する場合にはAが生きて、Bはゼロになる)
<計算に使用する固定資産台帳の値>
青字が平成19年度の税制改正に伴い追加された項目
AN列 財務償却率
AQ 財務保証率 転換点の判定に使用
AS 財務改訂償却率 転換点後の定額償却の償却率
AW 使用開始年月
AX列 財務転換年 転換点となった年度。現在未使用
AZ 取得価額
BA 財務改訂取得価額 転換点を過ぎた場合の定額償却をスタートする仮の取得価額
BL 財務期首簿価
*ここでは全て財務(財務会計システムに反映される)の値を使用する。以下は使用しない。
法定→法人税用(有税償却差異把握用)
理論→固定資産税申告用<注意事項>
*固定資産台帳は償却費を計算する時に小数点以下切捨てで計算している。このため、受け取る簿価の値は切捨て分が償却不足となり、プラスの誤差が含まれる。
償却終了の簿価判定を行う時には、このプラス誤差に注意しないと判定を誤ることになる。
*以下解説の行アドレスは、貼り付けた時のアドレスで変化します。
<式の種類と構成>
式はa.年内用か次年度以降用か、b.税制改正の前に使用開始か後に使用開始かに大きく分かれます。b.の中で税制改正以降使用開始の資産は、2年償却の型かそれ以外に分かれます。
a.年内用(年内の月を指定して個々の資産の簿価と償却費を計算)
→取得価額を元に計算する。また、使用開始月の管理が必要で、使用開始月より前は償却
費が発生しない。
次年度以降用(年度ごとに月を指定してその月の簿価と償却費を計算)
→前年度の計算結果で得られた期首簿価を使って計算する。
この為に、指定した月以外に12月の償却後の簿価を計算する。
b.大きくは3種類に分類され、この分類に従って式を貼り付けること。
(まだ式の貼り間違いチェックは入れていないので、それなりに計算します)
1.税制改正の前(資産の種別にはよらない)→2007年3月以前使用開始
2.税制改正後の型(2年償却のみ)以外の資産→2007年4月以後使用開始の2年償却以外
3.税制改正後の型(2年償却のみ)専用の式→2007年4月以後使用開始の2年償却専用
計算方法が全く異なる為に別の式となっている。
細かく分類すると、aとbの組み合わせで、以下の種類に分かれる。
1.<税制改正前>2007年3月使用開始以前
⑤~⑧は4列毎にまとめてコピーする事で、何年先でも計算可能にしている。
年内用 ①改訂取得価額→未使用
②簿価計算(橙色) ③償却費計算(桃色) ④12月簿価=次年度期首簿価(紫色)
次年度以降 ⑤改訂取得価額→未使用
⑥簿価計算(緑色) ⑦償却費計算(薄緑色) ⑧12月簿価=次年度期首簿価(深緑色)
2.<税制改正後 型(2年償却)以外>2007年4月使用開始以後
⑤~⑧は4列毎にまとめてコピーする事で、何年先でも計算可能にしている。
年内用 ①改訂取得価額→使用(桃色)
②簿価計算(薄緑色) ③償却費計算(緑色) ④12月簿価=次年度期首簿価(深青色)
次年度以降 ⑤改訂取得価額→使用(橙色)
⑥簿価計算(紫色) ⑦償却費計算(空色) ⑧12月簿価=次年度期首簿価(青色)
3.<税制改正後 型(2年償却)専用>2007年4月使用開始以後
年内用 ①改訂取得価額→現在は未使用
②簿価計算(青色) ③償却費計算(空色) ④12月簿価=次年度期首簿価(水色)
次年度以降 ⑤改訂取得価額→現在は未使用
⑥簿価計算(黄色) ⑦償却費計算(薄黄色) ⑧12月簿価=次年度期首簿価(灰色)
<全体の式のイメージ>以下の塊が1~3(税制改正前、後の型以外と型)の3種類について有る
次号に続く